どうも、ばやしです。
先日@ryuzeeさんがこんな記事書いてましたね。
記事の内容に関して同意しかないので、自分も最初はKPTをやるけどそのうちやらなくなる理由を書いていきます。
なおレトロスペクティブの手法はファシリテーターの振る舞いで効果効能が変わると思うので、ここから書く話はあくまで自分がファシリをする場合の話です。本記事内で登場する「KPTは」という表現は「(私がファシリする)KPTは」の短縮表現なのでご承知おきのほどお願いします。
KPTから始める理由
わかりやすいから
シンプルでいいですよね。ルールも簡単でレトロスペクティブのファシリをしたことない方でも取っ付きやすいです。また業務改善感が強いのがウケが良い理由のひとつだと感じています。業務中のMTGなんだから、業務が改善されるようなMTGをしようよという心理的な圧は多少なりともありますよね。 チームの雰囲気や周囲からの見る目が変わってくると、端から見ると遊んでいるようなレトロスペクティブの手法でも問題はないのですが、そういう土壌がない状況だとちゃんと振り返ってちゃんと改善していこうという雰囲気が強いKPTは馴染みやすいです。
端的で効果が出やすいから
KPTの良いところは、Keepで自分が良いと思っていることを表明し、Problemで問題だと思っていることを表明し、Tryで改善案を考えることです。はい、ルール説明でした。
そもそもチームメンバと良いと思ってること、悪いと思っていることをみんなで話し合うことって普段しないですよね。そんな状況でKPTをやってみると、みんなが何を良いと思い何に不満を感じていたのかがすぐわかります。しかもこれまでレトロスペクティブ的な活動をしていなかったチームの場合「みんな不満に思っていて改善はすぐできるもの」がたくさん出てくることが多いです。すぐできるんで改善はどんどん進みます。そういった表出させるだけですぐ解決する問題に取り組むには最適なフレームワークです。
じゃあなんでこのKPTをそのうちやらなくなるかと言うと以下の通りです。
そのうちやらなくなる理由
すぐ解決できる問題にしか強くない
KPTは表面的な問題に言及することは得意ですが、課題の真因に迫るのは苦手です。 目に付くゴミ拾い的側面が強いなと感じています。目に付くし拾うだけで片付けられる課題の改善には効果的な一方、こびりついた汚れや基礎工事から必要な課題には無力です。例えば自分たちの目標に振り返ってそもそも今の自分たちが向いている方向性は間違ってるよね?みたいな話は出て来づらいイメージです。
Problemばかりに目がいきがちだから
KPTはKeepもProblemも両方出すので、フレームワークとしての問題ではないと思うのですが、大体どのチームでやってもProblemばかりに目がいきます。 悪いところを直す方がわかりやすいからですかね?理由ははっきりしないのですが、だいたいProblemばかりに目がいき自分たちは問題ばかりであるという雰囲気が蔓延します。ポジティブなチームのほうが生産性が高い的な話がどっかにありましたし(雑)、私自身もポジティブなチームで働いている方が楽しいので、KPTの多用は避けるようにしています。
レトロスペクティブの手法はたくさんあってそれぞれ色んな効果効能があるから
前述の通りKPTは目に付くゴミ拾い的改善に効果がある一方、チームの目標に立ち戻る、チームをポジティブにする、深く考えないとたどり着けない問題にアプローチする、などの効果効能は薄いです。 逆に言うと上記のような効果効能が見込めるレトロスペクティブの手法は世の中に存在しますし、それ以外の効果効能が見込めるものもあります。 例えば私はチームに目標に立ち戻ってほしいなと思うときは帆船のふりかえりをやります。このようにその時のチームに対して適用したい効果効能を踏まえてレトロスペクティブの手法を使い分けています。チームの状況に応じてレトロスペクティブの手法を使い分けることに関しては小田中さんの資料が詳しいです。
自分たちのプロセスを自分たちでどんどん変更していってほしいから
レトロスペクティブでは自分達のプロセスを検査適応します。その検査適応のやり方自体も検査適応してほしいと思っています。レトロスペクティブのやり方を複数実践することで、レトロスペクティブ=KPTのマインドから脱却して欲しいですし、自分たちがコントロールして良い範囲をどんどん広くしていってほしいという思いがあります。
というわけで自分が最初はKPTをやるけどそのうちやらなくなる理由でした。
最初にも書きましたが、ファシリによって出てくる内容は違うので今回の話はあくまで私がファシリするKPTの話であることをご留意ください。
あと「KPTを続けたくないんだけど他の手法が怖くて...」という方向けにKPTの次にやるレトロスペクティブの手法でハードル低そうなやつを以下に挙げておきます。
増やすこと、減らすこと、止めること、続けること、始めること、の5つを出す。 KPTと構造が似てるからハードル低いけど、表現の違いによって出てくるもの全然違うことが学べると思います。
付箋に話したいこと書いてランダムに引いてその話する。ルールが非常にシンプルだからハードルは低い。あとこんな話する必要ある?みたいな話でも深掘るとめっちゃ面白いトピックになるみたいな経験ができる。
以上です。